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2025年6月27日挑戦の先に見えた景色――中村選手とのご縁から

挑戦の先に見えた景色
――中村選手とのご縁から

きっかけは、2月に投稿したInstagramの1枚の写真でした。
卓球ラケットへの加飾加工サンプルを紹介したところ、それをご覧になったのが、パラ卓球選手の中村さんです。

4月に初めてお会いした際、私の中に「せっかくスポンサーになるなら、うちの技術で中村さんを支えるものを
一緒につくりたい」という想いが湧きました。

実は昨年から、ずっと心に残っていた想いがありました。
それは、「いつか、車いすという舞台に、うちの加飾を届けてみたい」というものです。

きっかけは、車いすテニスの小田凱人選手。
彼の車いすにレインボー蒸着を施してみたいと製造会社様とご縁がつながり、実現に向けて動き出したこともありました。けれど、日程の折り合いがつかず、その想いは叶わないまま、心の中にそっとしまわれていました。

だからこそ今回、中村さんからスポンサーのご相談をいただいたとき、
「あの時の想いを、今こそ形にできるかもしれない」と自然に気持ちが動いたのです。

本当は、ホイールのスポーク部分にも加飾をしてみたかったのですが、費用面の現実もあり、今回は断念することに。
それでも、今できることを、精一杯やろうと決めて目を向けたのが、車いすを操作するために手で握る「ハンドリング」と呼ばれるパーツでした。
毎日の練習や試合で必ず触れるその場所に、想いと技術を込めることにしました。

「この部分にうちの加飾ができれば、中村さんだけの特別な一点になるかもしれない。
そしてトーシンの技術を広める機会にもなる」そう考え、社内の現場に相談を持ちかけました。

しかし、返ってきたのは「このサイズ・形状では難しいです」「きれいに発色しないと思います」といった声。
それでも私はあきらめきれませんでした。
「なんとかならない?」「もう一度だけ、考えてみてほしい」――何度もお願いを続けました。

すると、現場のメンバーたちはその想いに応えてくれました。
材料の位置や素材のセットの仕方、細かな部分にまで工夫を凝らし、試作を繰り返してくれたのです。

そして5回目のチャレンジ。ついに「これならいける!」という美しい仕上がりにたどり着くことができました。
この挑戦は、まさに私たちの行動指針にある「挑戦の失敗は称えあい、ミスによる失敗は改善の機会にしよう」を
体現したものだったと思います。

今回のプロセスで生まれた発想や工夫は、今後の製品づくりにも必ず活かされていくと感じています。

そして完成後、中村さんが装着して練習に臨んだ際には、周囲の選手や関係者から「キレイ!」「かっこいい!」という声が上がったそうです。何より、コーチから「亮太自身も本当に気に入っています」との言葉をいただき、
ものづくりに込めた想いがしっかり届いたことを実感しました。

私たちがつくるのは、ただの製品ではありません。
「私たちの技術は、製品をより美しくするものです。でも今回は、技術だけでなく、誰かの挑戦を私たちのモノづくりで後押ししたい、応援したいという気持ちでつくりました。」

この想いを、YouTubeのコメントにも込めました。
ぜひそちらも見てください。↓↓↓↓
パラ卓球・中村亮太選手が使用する世界に一つだけのレインボーハンドリング!

中村選手は、6/26から台湾での国際大会でこのハンドリングを装着して出場されます。
今回私たちが手がけたのは、単なる加飾ではなく、「挑戦を支える一点」。
製品を美しくする技術に、応援したいという想いを重ねて――
トーシンのものづくりが、誰かの挑戦の背中をそっと押す力になる。
そんな仕事ができたことを、心から誇りに思います。

台湾の舞台で、中村さんが最高のパフォーマンスを発揮できますように。
トーシン一同、全力で応援しています!

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